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すーっと、心の中からキレイに洗浄されていく。映画には、そんな作用がある気がする。まっさらになりたいときは、とても良いのだけど、空っぽのときには、ちょっとキツイ。映画に限ったことじゃないんだけれど、受け取る側のモチベーションって、結構大事だったりする。せっかくの良い作品には、良いモチベーションで出会いたい。 ごく日常的な風景。出来事。そんな中で見つける、小さな息吹。幸せ。いつものわたしが見逃してしまうことを、少し違う自分が見つける。それもまた日常。 素敵な言葉がたくさん流れる。シネポエムという名前で、5つの短篇を集めた作品。 一つ目は『世界はときどき美しい』。年を重ねていくことを受け入れ、何も生まない自分の仕事にも喜びを感じる。自然体で生きてきた女が、体調を崩して初めて触れた、道端の雑草。松田美由紀の声で紡がれる言葉が、心地良い。時々出会う、小さな喜びのために、人は必死に毎日、生きているのだ。 二章は『バーフライ』。安月給でも、毎晩飲み歩くことだけはやめられない。風呂つきアパートにも住めない、そんな生活。それでも渡り歩き、飲み、夜を明かす。柄本明は本当に良い俳優。渋い。どんなことがあっても、飲んで、目が覚めれば朝になっている。どうしようもないけど、強い男を演じている。 三章は『彼女の好きな孤独』。好きな男とセックスをしたあとに、考える。この関係ほど薄っぺらいものはないし、どこかで噛み合わない人であっても、セックスはする。若い頃はもどかしさを感じるけれど、今になって思うのは、ふと「やっぱり人は一人なんだ」と思うときの孤独が、わたしもまた、好きだということ。 次は『スナフキンリバティ』。避妊をしくじって生まれた命を、彼女がお腹に宿す。スナフキンに似ている男は松田龍平。見透かしている女は浅見れいな。ずっと一緒にいられなくても、空を見上げれば同じ時間を生きていると知ったとき、男は女を愛おしく思う。別々の場所で、時間軸を一緒に生きる。素敵。 最後は『生きるためのいくつかの理由』は一番良かった。実家を出て暮らし、久しぶりに戻ると、母の老いと孤独を知る。母は娘のことをたくさん理解しているけれど、娘は母のことを何も知らない。自分の名前がつけられた理由を聞き、名前というものの大切さを感じる。全てのものに名前があるのだ。 こういう作品は、個人的にとても好き。意味があって、言葉があって、風景があって、そこに人がいる。とても好き。しかし。松田龍平、数こなしすぎで、公開に全然ついていけない・・・。 生きることを好きになる。あなたが教えてくれました。 『世界はときどき美しい』 ![]() 監督・脚本:御法川修 出演:松田龍平、市川実日子、片山瞳、松田美由紀、柄本明 2007年3月 ★『世界はときどき美しい』公式サイト <関連作品> 『世界はときどき美しい〜Music Anthology〜』 サントラ。ジャケットキレイ。 ![]() 『恋の門』 松田龍平主演作。松尾スズキ監督。
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